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Drilling Methods

ガンドリル・BTA・ツイストドリルの違いは?穴径と深さで選ぶ早見表

ガンドリル、BTA、ツイストドリルの違いを早見表で比較しました。給油と排出の方式の違いと、穴径と深さから工法を選ぶ手順がわかります。

ガンドリル、BTA、ツイストドリルの違いは、切削油をどこから入れて切りくずをどこから出すかという「給油・排出の方式」にあります。一般に、浅い穴はツイストドリル、小〜中径の深穴はガンドリル、大径の深穴はBTAが目安です。本記事では、3つの工法の違いを早見表にまとめ、穴径と深さから工法を選ぶ手順を紹介します。

3工法の違いがひと目でわかる早見表

まずは結論として、3つの工法の違いを一覧にします。穴径やL/D比(深さ÷穴径)の範囲は一般的な目安で、工具メーカーや設備によって変わります。

項目ツイストドリルガンドリルBTA
切削油の入り口外部から、または工具内部の油穴工具内部の油穴工具の外周と穴のすき間
切りくずの出口らせん状の溝を通って入口側へ工具外周のV溝を通って入口側へ工具の中心(中空の軸の内部)
得意な穴径(一般的な目安)小径〜中径の幅広い範囲小径〜中径中径〜大径
L/D比(一般的な目安)おおむね5前後まで100程度以上も可能100程度以上も可能
主な設備汎用機、マシニングセンタガンドリル専用機などBTA専用機(圧力ヘッドが必要)

同じ内容を、用途ごとの向き・不向きとして◎○△×で示すと次のようになります。これも一般論としての目安です。

比較項目ツイストドリルガンドリルBTA
浅い穴の能率◎△△
小径の深穴×◎×
大径の深穴×△◎
穴の真直度△◎◎
内面の面粗さ△◎○
設備の手軽さ◎○△

3つの工法の仕組み ─ 給油と排出の方式

深い穴をあけるときの最大の課題は、穴の奥で発生した切りくずを外へ出し続けることです。3つの工法は、この切りくずの運び方が根本的に異なります。深穴加工全体の基礎は「深穴加工とは」で詳しく解説しているため、ここでは違いに絞って説明します。

ツイストドリル ─ らせん溝で切りくずを送り出す

一般的な穴あけで使われるドリルです。2枚の刃とらせん状の溝をもち、溝に沿って切りくずを穴の入口側へ送り出します。穴が深くなると溝の中で切りくずが詰まりやすくなるため、途中で工具を引き戻して切りくずを出すステップ送りを使うのが一般的です。内部給油式のロングドリルを使えば深さを伸ばせますが、深穴専用の工法ほどの深さや真直度は得にくくなります。

ガンドリル ─ 内部から給油し、V溝から排出する

ガンドリルは片側にだけ刃をもつ細長い工具で、軸の内部に油穴があり、外周にV字の溝が通っています。高圧の切削油を工具内部から刃先へ送り、その流れで切りくずをV溝に沿って入口側へ押し流します。刃の反対側にあるガイドパッドが穴の内面に沿って工具を支えるため、穴がまっすぐ進みやすく、内面もなめらかに仕上がりやすいのが特徴です。工具の詳しい構造は「ガンドリルとは」で紹介しています。

BTA ─ 外周から給油し、工具の中心から排出する

BTAは、ガンドリルとは逆に、工具の外周と穴のすき間から切削油を送り込み、切りくずを中空の工具軸の内部を通して排出する方式です。切りくずの通り道を広く取れるため、大径の穴を高い能率で加工するのに向いています。一方で、切削油を穴の入口で密閉して送り込むための圧力ヘッドや大流量のポンプが必要で、設備は大がかりになります。工具の中心に排出路を設ける構造上、小径の穴には向きません。

3つの工法を並べると、切りくずの通り道をどこに確保するかで、得意な穴径が決まっていることがわかります。ツイストドリルは溝そのものが通り道なので、深くなるほど詰まりやすくなります。ガンドリルは工具外周のV溝を高圧の切削油で洗い流すため、細い工具でも排出を続けられます。BTAは工具の中心に太い通り道をもつため、大量の切りくずを出す大径の加工で力を発揮します。

得意なL/D比の目安

加工できる深さの目安を、L/D比で比べたのが下の図です。数値は一般的な目安で、ガンドリルとBTAはいずれも条件や設備によってさらに深い加工が行われることがあります。差が大きいため、対数スケールで表示しています。

同じL/D比でも、穴径が小さいほど工具は細くなり、加工は難しくなります。L/D比が高い加工で起きる課題は「L/D比が高い深穴加工の5つの課題と対策」で整理しています。

精度・面粗さと設備の違い

真直度と面粗さ

ガンドリルとBTAは、ガイドパッドで工具を支えながら加工するため、一般にツイストドリルよりも穴の真直度と内面の面粗さに優れます。ガイドパッドが内面をならす効果もあり、用途によってはリーマ加工などの仕上げ工程を省けることがあります。さらに高い精度が必要な場合は、深穴加工のあとにホーニング加工を組み合わせる方法もあります。

ツイストドリルで深めの穴をあける場合は、ステップ送りのたびに工具が出入りするため、内面に段やキズが残りやすく、穴の曲がりも積み重なりやすくなります。そのため、精度が必要な穴ではリーマやボーリングなどの仕上げ工程を後から加えるのが一般的です。工法を選ぶときは、穴あけ単体ではなく、仕上げまで含めた工程全体で比べることが大切です。

設備と段取り

設備の面では、ツイストドリルは汎用の工作機械やマシニングセンタで使えるのが利点です。ガンドリルは高圧の切削油と工具を案内するガイドブッシュが必要で、深い穴ほど専用機が有利になります。BTAは圧力ヘッドと大流量の給油設備をそなえた専用機が前提です。また、ガンドリル専用機やBTA専用機では、ワークを回転させる方式と工具を回転させる方式、両方を逆向きに回す方式があり、丸物のワークでは一般にワークを回す方式が真直度の面で有利とされます。ワークの形状に合った方式の設備を選ぶことも、精度を左右するポイントです。

加工能率とコストの考え方

加工能率は、穴径によって有利な工法が変わります。大径の穴では、切りくずを工具の中心から大量に排出できるBTAが能率面で有利になりやすく、小径の穴では、細い工具でも安定して切りくずを排出できるガンドリルが向いています。浅い穴であれば、段取りが簡単で加工時間も短いツイストドリルが最も経済的です。一方で、深穴専用機を自社で持たない場合は、設備投資と外注の費用を比べて判断することになります。数量が少ない試作では、設備をそろえるよりも、深穴加工を専門とする加工先に依頼する方が早く確実なことも少なくありません。

穴径と深さから工法を選ぶ手順

工法を選ぶときは、穴径と深さだけでなく、精度、数量、使える設備を順に確認します。一般的な判断の流れは次のとおりです。

判断の結果を、穴の条件ごとにまとめると次のようになります。

  • L/D比がおおむね5前後までの浅い穴:ツイストドリルが手軽で能率的
  • 小〜中径で、深い、または真直度や面粗さが厳しい穴:ガンドリルが第一候補
  • 大径で深い穴、または大径を高い能率で加工したい場合:BTAが第一候補
  • 判断に迷う中間の穴径:精度、数量、手配できる設備で比べて決める

穴の条件別に見た工法の目安

穴の条件(例)第一候補の目安判断のポイント
小径で浅い穴ツイストドリル汎用機で加工でき、段取りが簡単
小径で深い穴ガンドリル工具内部からの給油で切りくずを排出しやすい
中径で深く、真直度が厳しい穴ガンドリルガイドパッドの支えで穴がまっすぐ進みやすい
大径で深い穴BTA工具中心から大量の切りくずを排出できる
深穴で内面に高い精度が必要な穴ガンドリルまたはBTAと仕上げ工程ホーニングなどの後工程を組み合わせる

実際には、材質や交差穴の有無、外形の形状によっても最適な工法は変わります。表は出発点として使い、最終的には図面の要求と手配できる設備で判断してください。

ハイタックのガンドリル加工

ハイタックは、ガンドリルマシンの製造と深穴の受託加工を行っています。主な実績と体制は次のとおりです。

  • 対応穴径 φ0.5〜30mm(φ0.5×30L〜φ30.0×1,500L のガンドリル加工)
  • φ1.0mm で深さ 400mm(L/D 400)の深孔加工を実現。長さ 3,000mm(トンボ加工) の長尺深孔加工にも対応
  • 穴径精度 ±0.05以内、面粗度 3.2S(Ra0.023 の実績あり)
  • 自社製ガンドリルマシン35台、1,000種類以上のガンドリル(工具含む)を保有。φ0.5〜φ25.0 は 0.1mm 単位で保有
  • 試作1本から量産まで対応

加工機をお探しの方は「ガンドリルマシン」、加工をご依頼の方は「深穴受託加工」のページをご覧ください。どの工法が合うか迷う穴も、穴径・深さ・材質・要求精度をお知らせいただければご提案します。ご相談はお問い合わせページから承っています。

よくある質問

ガンドリルとBTAの一番大きな違いは何ですか?

給油と排出の方向です。ガンドリルは工具内部から切削油を送り、外周のV溝から切りくずを出します。BTAは工具の外周から切削油を送り、中空の工具軸の内部から切りくずを出します。この構造の違いから、一般にガンドリルは小〜中径、BTAは中〜大径に向いています。

マシニングセンタでガンドリル加工はできますか?

高圧の内部給油とガイドブッシュなどの案内を用意できれば、比較的浅い深穴で使われることがあります。一方で、深い穴や高い真直度が求められる穴では、剛性や給油の面でガンドリル専用機が有利です。

ツイストドリルで深い穴をあけるとどうなりますか?

深くなるほど溝の中で切りくずが詰まりやすくなり、工具折損や穴曲がり、内面のキズが起きやすくなります。ステップ送りやロングドリルで対応できる範囲を超える場合は、ガンドリルやBTAなどの深穴専用の工法を検討します。

穴径が小さい深穴では、どの工法を選べばよいですか?

一般に、小径の深穴ではガンドリルが第一候補になります。BTAは工具の中心に切りくずの通り道を設ける構造上、小径には向きません。ハイタックではφ0.5mmからのガンドリル加工に対応しており、φ1.0mmで深さ400mm(L/D 400)の深孔加工を実現しています。

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図面がなくても構いません。材質・穴径・深さをお知らせいただければ、加工可否と最適な方法をご提案します。通常24時間以内(営業日)にご返信します。

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