海外では主にTHE DEEP HOLE BORING MACHINE(深孔明加工機)と呼ばれているらしい。日本では一般的にガンドリルマシンと呼ばれることが多い。では、ガンドリルマシンと呼ばれるこの物騒な名前の機械・・・一体どのような用途で使われるのか、その疑問にお答えしましょう!!
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丸い円筒状のワークに穴をあける型が主流
ガンドリルは、ヨーロッパ地方で最初に作られたと言われている。その故、ドイツ、スイスメーカーなどではガンドリル専門企業が多数存在する。そもそも、ガンドリルとは猟銃や拳銃などの筒に穴をあけるために作られたものである。それ故に、丸い円筒状のワークに穴をあける型をしたものが多い。

ノンステップでの切削加工(ガンドリルマシン)

図を見て気付きましたでしょうか?他のNC工作機械とは違いガンドリルを用いた切削加工は高圧ポンプから供給された切削油がドリル内部を通り、刃先から噴出されドリル外側のV 溝を通り切屑を外部に排出する仕組みになっています。
ガンドリルだからできる高精度な加工
切粉の排出性が優れているのでガンドリルマシンはツイストドリルなどでは困難な深孔や小径孔をガンドリルという特殊な工具を用いて1パスで高精度に加工することが出来ます。現在では、自動車部品を始めセンサー穴、燃料ノズル、医療工具部品等・・・の加工用途に使われています。実際、当社では全国各地からの加工依頼を受け上記にあげた製品の加工を日々行っています。
ガンドリルマシンについて
ガンドリル加工は、高圧の切削液を使って効率的に深穴を開ける加工法である。マシニングセンタや放電加工機と比較して、長径比や同心度が優れている。また、切りくずを細かくしてV溝から排出するため、切りくず排出効率が高く、無段加工が可能で、加工時間を大幅に短縮できる。また、切削液が刃先から速やかに排出されるため、内面が滑らかになり、面真直度が向上します。その為、切粉による面精度の低下や何回かに別けて送りをかけなければならないなどの他の工作機械とは違い、ガンドリルマシンでは一回の切削加工で短時間での切削加工ができるようになっています。
参考動画(botek社)
日本では1975年から1977年にかけて深穴のガンドリル加工に関する基礎研究が行われ、1983年から1992年にかけてはさらに深穴加工の穴の軸方向のずれに関する研究が行われた。2018年には、チタン合金の超長尺深穴加工に関する研究が報告されました。私たちが知る限り、達成された最大長径比(L/D)は140であった。しかし、ガンドリル加工機JDH-600-RFは、1×400mmのガンドリル加工で世界初となるL/D 400を達成した。
ガンドリルマシン用クーラントタンク
概要:
クーラントタンクは、高圧ポンプから切削油をスピンドルモーター駆動のガンドリルに供給して性能を高め、切削加工で発生する切り粉と油を回収し、チップコンベアとフィルターでろ過してクリーンな油として再利用するものです。また、オイルクーラーにより切削油を最適な温度に保つことができます。
動作:
ガンドリルのV溝から排出された切屑と切削油は、チップボックスからチップシューターへ、そしてクーラントタンクの1次層(ダーティ層)へと運ばれる。切削油はさらにチップコンベアからオプションのコンベアシステムで2次(ダーティ)層に搬送され、大きな切りくずが除去される。二次層からの切削油は、マイクロマグと10μmのカートリッジフィルターを通過して細かい切粉を除去し、サクションフィルターを経て、高圧ポンプと圧力調整器(リリーフバルブ)で適正圧力に調整され、最後に本機のスピンドルのビルトインモーターから高圧ホースでガンドリルに供給されます。

*オプション仕様、連続使用を想定し、バルブ開閉によりカートリッジA⇔Bと油路を切り替えることで、使用していない側のフィルタを交換できる。
各機器概要:
1. チップコンベア(オプション)
切り屑処理にメッシュのポリゴンドラムフィルタ-でクーラントをろ過。
逆洗クーラントによる自動洗浄機構で連続ろ過。
2. 逆洗浄用ポンプ(オプション)
チップコンベアのドラムフィルタの目詰まりを防止するためのポンプ。
チップコンベアのドラムフィルタは、連続使用を長年続けていくと、フィルタに汚れが堆積していき、最終的に目詰まりを起こす。
その状態を防ぐために、逆洗浄用ポンプより、ドラムフィルタの内側ノズルから油を噴射することで、フィルタを常時洗浄する。

3. フィルタ供給ポンプ
二次層の汚れた切削油を、フィルタへ通して吸い上げ三次層へ供給する。
4. マグネットフィルター

鉄粉を含んだ流体はマイクロマグの流入口を入り、ユニークなテーパ放射状流体路により分散される。これらの流体路が流体のスピードを緩やかにする。流体はネオジウム磁石コアの外側を流れる。ここで粒子が集積され優れたろ過効果をもたらす。更に粒子が付着すると磁束路形状が鉄粉集積をコントロールする。鉄粉集積に関わらず流体は空いている流路を流れるので、この磁束回路はろ過をけっしてブロックする事は無い。ろ過された流路は、磁気コアの戻り口から入り中心部を上がり流出口から出る。
5. カートリッジフィルタ10μm

一般用ステンレス製ハウジング ALNタイプはステンレス製で一般向け、コストパフォーマンスに 優れた標準円筒型カートリッジ用のフィルターハウジング。10 インチタイプフィルターカートリッジを 3 本から 18 本まで 組み込むことのできる中流量タイプで、スリーピース構造により、カバー、ヘッド、シェルに分解することができるため、 簡単・確実に洗浄を行うことができるなど、取り扱いの容易な製品となる。
6. サクションフィルタ(150メッシュ)

タンクから出たライン上のコンタミの循環を防止し、油圧ポンプを保護する。
7. リリーフバルブ(圧力調整弁)
高圧ポンプで生成された高圧切削油をリリーフバルブで油を逃がし圧力を調整する。
8. 高圧ポンプ
スクリュー軸と鉄製ハウジングにより極めて高い圧力を生み出す、ろ過された液の送液用ポンプ。
9. 機内洗浄ポンプ
ガンドリルマシン(本機)の機械内に常にオイルを流し切粉等が機内に溜まらないように洗浄する。
10. 差込型フィルタ 80メッシュ
一次層から二次層へ差込型メッシュフィルタを通じて切削油が流れろ過される。
11. オーバーフロー
供給ポンプからフィルタを通じて三次層へ供給されたクリーンオイルは
三次層が満杯になると上側開口部から二次層へオーバーフローします。
12. オイルクーラ
加工で発熱した切削油を最適な温度に冷却する。